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群馬においての卒塔婆について

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〒371-0244 群馬県前橋市鼻毛石町1991-40

仏教用語集Glossary

卒塔婆(そとば)


卒塔婆(そとば)とは、縦長の平たい木の板で作られていて、お墓の裏側などに建てるものです。

卒塔婆を立てるのは基本的に仏教式のお墓のみです。

日本のお墓では多くの卒塔婆が見られますが、ここではこの卒塔婆について書いてみたいと思います。

卒塔婆(そとば)の由来はインドの仏塔(ぶっとう)です。

仏教が生まれたインドにおいて、お釈迦様の骨(仏舎利:ぶっしゃり)を納めるために建てられた仏塔のことをサンスクリット語で「ストゥーパ」と言います。

お釈迦さまが入滅すると、遺骨は8つに分けられて8つの国に遺骨を安置するための塔が建てられたと言われています。

塔と言っても、おわんを逆さまにしたようなこんもりとした塚であり、私たちがイメージするような高い建造物とは少々異なります。

そしてお釈迦様だけではなく、高僧が亡くなってもストゥーパを建てるようになりました。

それが中国に渡った際に「卒塔婆」という漢字をあてられて、そのまま日本に渡ってきました。

つまり卒塔婆は、仏塔を意味するストゥーパの音写であり、音(言葉の発音)を同じような発音をする漢字で表しただけですから、漢字一つ一つに意味があるわけではありません。

もし、現代の日本に直接渡ってきたら漢字ではなくて「ストゥーパ」とカタカナで呼ばれることになっていたかもしれませんね。

さて、日本において「卒塔婆(そとば)(そとうば)」は、省略して「塔婆(とうば)」と呼ばれたり、これを丁寧に「お塔婆」と呼んだりと、色々な呼び方がされていますが、呼び方が異なるだけであり、すべて同じものです。

ちなみに、日本各地にある五重塔や五輪塔などもストゥーパの一つです。


卒塔婆を建てる意味


卒塔婆を建てる意味ですが、故人の追善供養(ついぜんくよう)のために建てます。

仏教では、善い行いをした者は浄土という心安らかな世界にいけると考えられていますが、「故人は亡くなってしまっているのでこれ以上の善行は出来ません。その代わりに残された私たちが善行をいたしますので、これを故人のためのものとしてください」というのが追善供養です。

つまり、生きている我々が、追って善(よ)い行(おこな)いをして故人を供養するわけです。

生きている我々が善い行いをして善を積むことが故人の善行にもなるという追善供養の考え方に基づき、卒塔婆を立てることは善い行いであるから故人の供養になると考えられているのです。

しかし、そうは言っても、五重塔(ごじゅうのとう)のような大きな建造物を建てるのは大変です。

ですから、縦長の平たい木の板で作られた簡易な卒塔婆を建てるのです。

そのため、卒塔婆というと日本においては縦長の平たい木の板で作られたものをイメージしますが、本質は「残された我々が仏塔を建て、この善行を故人の善行とし、故人の冥福につなげる」というのが卒塔婆を建てる意味となります。


卒塔婆の数え方


卒塔婆の数え方ですが、仏塔を建てているので、1基(き)、2基(き)というように数えるのが正式です。

ただ、僧侶も含めて1本、2本というように数えたりもします。

1本、2本というのは本来の数え方ではありませんし間違えているのですが、多くの人が使っているので意味が分かりやすいので、便宜上でそのように数えても問題はありません。

本来は「基(き)」で数えるのだけれども、便宜上「本(ほん)」で数えているのだという自覚を持ちながら使うのであれば、誰かに指摘されたときでも慌てずに済むのではないかと思います。もっとも、日常生活の中でわざわざ数え方が違うと指摘する人もいないのと思うので、ご安心ください。

ちなみに、「卒塔婆を建てる」を「卒塔婆を立てる」と表現されることもありますが、これも「基」ではなくて「本」で数えたりするので「立てる」と表現されてしまうのだと思います。


卒塔婆の依頼方法


卒塔婆は寺院(僧侶)に依頼します。

もし、葬儀の際は葬儀社にお願いして僧侶に来てもらったので寺院の連絡先が分からないとかでしたら、紹介してくれた葬儀社に連絡してみると良いでしょう。

1基3千円から1万円が相場です。

寺院は、木材店や仏具店などから購入した卒塔婆(木の板)に、筆文字で必要な文字を書き、拝んでから依頼主に渡します。

一般的に卒塔婆は、四十九日忌や一周忌などの年回忌の際に依頼することが多いので、法要の際に僧侶が持ってきてくれて法要中は祭壇の横などに建てておき、その後お墓に建てたりします。また、墓前での法要の場合には、最初にお墓に建ててから法要を行います。

また、お盆では卒塔婆を建てることが多いのですが、この場合は棚経(たなぎょう)で自宅に僧侶が来てくれる時に持ってきてくれるので、お盆期間中は自宅においておき、送り盆のときにお墓に持って行って建てます。

その他、春や秋のお彼岸で建てることもあります。

卒塔婆を依頼する場合には、僧侶が卒塔婆を書く時間も必要ですので、出来るだけ早く、少なくとも1週間前には依頼しておいた方が良いでしょう。

その際は「施主名」が必要になります。

つまり、誰が卒塔婆を建てようとしているのか、施主が誰なのかを伝えなくてはいけないということです。

1基であれば、基本的に葬儀の際の喪主が卒塔婆建立の施主となることがほとんどなので、その人の名前で卒塔婆を依頼することになります。(もちろん施主は建てないが、親戚の〇〇さんが建てたいと言っているという場合には、施主以外のこともあります)

また、群馬においては施主の1基だけではなく、子どもや孫、兄弟や親戚などの多くの人が卒塔婆を建てることが多いです。

それぞれ、施主の名前を間違えないように、正確に寺院(僧侶)に伝えてください。

「〇〇太郎・花子」「孫一同」のように、複数人が施主となって1基を建てることも可能です。


尚、仏教において卒塔婆はさまざまな宗派が使用しますが、浄土真宗では基本的に使いません。

浄土真宗では「人は亡くなったらすぐに極楽浄土に往生するため、追善供養をする必要がない」「善を積まなくても阿弥陀如来が救ってくださるので必要がない」と考えられているためです。

ただ浄土真宗でも、年回忌法要や各種法要を行ったり、周囲の風習に合わせていたりするので、地域や寺院によって異なりますから、浄土真宗だから必ず卒塔婆はないとも言い切れませんので、あくまで基本的には必要がないと覚えておきましょう。その上で、相談があれば浄土真宗の寺院(僧侶)に相談してみてください。


卒塔婆の大きさ


卒塔婆には様々な大きさのものがあります。

長さの単位は「尺(しゃく)」を使います。

材質は基本的に木材ですが、厚みのあるものだけでなく、紙のように薄いものもあります。

群馬において一般的に建てられている卒塔婆は、4尺から6尺の長さのもので、お墓に建てられる厚みのある木材の板状のものとなります。

ちなみに、1尺は30.3cmなので、4尺は約120cm、5尺は約150cm、6尺は約180cmとなります。

卒塔婆の大きさ(長さ)に迷ったら、群馬では多くの場合5尺を使うことが多いので5尺で大丈夫かと思いますが、霊園によっては大きさに制限があるところもありますので確認が必要です。(同じ霊園内でも区画によって制限高さが異なることもあります)

また、近年増えてきた芝墓地などだと、墓石の高さが低いので5尺だと大き過ぎることもありますので、その場合には4尺などでも良いかと思います。

逆に、群馬の場合は10から100くらいのお墓が建っていて管理者もおらず、地域の人たちが昔から利用してきた市町村管理の墓地なども多く、その場合には卒塔婆の大きさの制限もなかったりするので、出来るだけ大きなものを建ててあげたいという気持ちから6尺の卒塔婆が多く建っている墓地もあります。こうした墓地の場合、5尺の卒塔婆を建てると周囲の6尺の卒塔婆に比べてかなり小さな卒塔婆に見えてしまうこともありますので、周囲に合わせて6尺の卒塔婆にしてあげる方が良いかもしれません。


卒塔婆には何が書いてあるのか


卒塔婆のオモテ面の上の部分には、梵字が書かれていたり、「大円鏡智」や「平等性智」などの言葉が書かれていたり、南無妙法蓮華経という文字が独特なひげ文字と呼ばれる書体で書かれていたりと、宗派によって異なります。

また、板状の塔婆の上部がギザギザになっていますが、これは単なる模様ではありません。

大雑把な説明になってしまいますが、卒塔婆は5つのブロックで構成されていて、その各ブロックの継ぎ目のところがギザ部になっており、4つの継ぎ目のギザ部分が遠目で見るとギザギザに見えるわけです。

仏教が始まった昔のインドの思想では、世界の全ては、空、風、火、水、地という五大(ごだい)によって構成されているとされていました。(ちなみに、五大に「識」が加わり六大となります)

卒塔婆はこの5つの要素を表していて、卒塔婆の一番上のブロックが「空」、次が「風」となり、「火」「水」「地」と続きます。

そして「空」のブロックと「風」のブロックの間の継ぎ目のところにギザ(切りこみの刻み)が入っているわけです。(以下、地まで同様に合計4ヶ所)

さて、群馬県では真言宗や曹洞宗が多いので、真言宗の卒塔婆で説明いたしますと、卒塔婆の表面には、「空・風・火・水・地」を表す梵字(ぼんじ)「キャ・カ・ラ・バ・ア」が書かれています。

そして、その下にもう一文字の梵字が書かれています。

この最後の一文字の梵字は、年回忌などに対応する仏様を表す梵字です。

例えば、三回忌の為の卒塔婆であれば、阿弥陀如来を表す「キリーク」という梵字が書かれます。

そしてその下には、大日如来(胎蔵界)「おん あ び ら うん けん」の梵字が書かれた後に、漢字で「爰寳塔者為 〇〇〇〇信士 三回忌 成三菩提 也」などと書かれます。

つまり、「この宝の塔は、〇〇〇〇信士の三回忌の供養の為のものです」という意味です。

卒塔婆のウラ面には、上から大日如来(金剛界)「ばん」の梵字、破地獄真言の梵字、弘法大師空海を表す「南無遍照金剛」の漢字、「乃至法界平等利益 〇年〇月〇日」、「施主 〇〇〇〇 建立」などが順番に書かれています。

簡単に言えば、卒塔婆のオモテ面には何のための塔なのかが書かれていて、ウラ面には建てた日付や施主名などが書かれているというわけです。

同じ宗派でも省略して書かれていたり、逆にもっと厳密に書かれていたり、地域のやり方で少し変更されていたりなど様々ですが、おおむねオモテ面とウラ面にはそのようなことが書かれているのが卒塔婆だと思ってください。

卒塔婆が何であるのかや、何が書かれているのかも分からないまま、なんとなく昔からみんなが建てているから建てようという人も多いかと思いますが、意味が分かっていれば建てるときの気持ちも違ってくるのではないかと思います。

卒塔婆は、故人の追善供養のために建てますので、「あなた(故人)を苦しみから救い、あなた(故人)が心安らかでいられるように、残された私たちが仏塔を建てて善行をしますので安心してください」という気持ちを込めてお墓に卒塔婆を建て、手を合わせていただければと思います。






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